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第85話 私まで偽名なんですか

Author: 八月 猫
last update publish date: 2026-08-25 09:00:40

第66話 私まで偽名なんですか

 自分の部屋へ入って荷物を置いたあと、私はコートも脱がないままスマホを手に取った。

『帝人さん。少しお話があります』

 送って一分もしないうちに、

『俺の部屋へ来い』

 と返ってくる。

 隣室なのだから早い。

 廊下へ出て呼び鈴を押すと、すぐに扉が開いた。

「どうした」

「受付のことです。帝人さんが偽名なのは分かりますよ。『皇帝人』で予約したら、お忍びになりませんから。でも、どうして私まで名字が変わってるんですか? 私、受付で『水城小春様』って呼ばれて初めて知ったんですよ」

 帝人さん――このホテルでは『久世直人』ということになっている人は、悪びれる様子もなかった。

「俺だけ名前を変えて、お前の本名を残す理由がない。倉橋小春という名前から俺との関係へ辿られる可能性が少しでもあるなら、最初から消しておい

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